はじめに

「事故報告をお願いします」といわれて取り組んでみて、最初の壁となるのが事故のレベル分類です。
- レベルって何?
- レベル3だけaとbがある
医療・福祉の現場では、人と人とが関わる以上はヒューマンエラーは必ず発生し、どれだけ注意していても事故やミスを「完全にゼロ」にすることは困難。しかし重要なのは、ミスを責めることではなく、それを未来の安全にどう活かすかです。
そのために導入されているのが、「医療事故レベル分類(0〜5)」というシステムです。本記事ではその定義や具体例、なぜレベル0の報告が重要なのか、そして報告しやすい職場文化の作り方について詳しく解説します。
医療事故レベル分類とは?

医療事故レベルの定義
「医療事故レベル分類」とは、医療過誤やヒヤリ・ハット事例を、患者への影響度に基づいて分類する方法です。厚生労働省の定義に準拠し、レベル0から5までの7段階に分類されています。
レベル | 概要 | 患者への影響 |
---|---|---|
レベル0 | エラーあり/影響なし(ヒヤリ) | 影響なし |
レベル1 | 影響あり/治療不要 | 軽微な影響 |
レベル2 | 軽微な影響/処置必要 | 処置あり |
レベル3a | 中程度の影響(入院延長・治療強化) | 中等度 |
レベル3b | 重度の影響(後遺症・合併症) | 重症 |
レベル4 | 永続的障害が発生 | 永続的な障害 |
レベル5 | 死亡事故 | 死亡 |
各事故レベルの具体例とその影響
レベル | 具体例 | 患者への影響 |
---|---|---|
0 | 点滴準備中の薬剤取り違え(未投与) | 影響なし |
1 | 採血後の内出血(自然治癒) | 処置不要 |
2 | 転倒による打撲で湿布・観察が必要 | 軽微な処置 |
3a | 投薬ミスによる胃炎、治療を実施 | 入院延長 |
3b | 誤処置により後遺症が残る | 高度治療が必要 |
4 | 麻酔薬の過量投与で意識障害 | 永続的障害 |
5 | 誤手術により死亡 | 最重度の結果 |
なぜレベル0が最も重要なのか?
医療事故は、いきなり重大事故として発生するわけではありません。その多くは、「ヒヤリ」とした小さなエラー(レベル0)が積み重なった結果です。
ハインリッヒの法則では1つの重大事故の背景には29の軽微な事故と300のヒヤリハットが潜んでいると言われています。
レベル0報告のメリット
- 潜在的なリスクを早期に発見できる
- 組織内の“慣れ”や“ゆるみ”に気づける
- 小さな改善で大きな事故を防げる
- 現場の安全意識が向上する
📌 レベル0は、未来の重大事故を防ぐ“センサー”です。
医療現場に安全文化を根付かせるには?

報告の障壁と現実
- 「こんな小さなこと、報告しても無意味」
- 「責められたくない」
- 「評価が下がるのが怖い」
こうした心理的なハードルにより、情報が集まらず、正確な対策が取れなくなります。
安全を高めるために現場でできること
方法 | 内容 |
---|---|
🌱 教育 | 全スタッフに事故レベルの意義を共有 |
💬 空気づくり | 指摘でなく“気づき”として扱う |
📊 フィードバック | 報告を活かし改善策を提示 |
まとめ|事故レベル分類は“責任追及”ではなく“未来の安全”のためにある
- ✅ 医療事故は「影響度」で分類される
- ✅ レベル0報告が最も価値ある情報
- ✅ 報告は未来を守る行動であり、責任追及ではない
- ✅ 事故レベルを学ぶことが事故予防につながる
- ✅ 報告しやすい職場文化こそ、安全の土台
最後に|“小さな違和感”を見逃さない勇気
「今回、大丈夫だったから報告しなくていいや」
その面倒だからいいや!が、未来の大事故につながることもあります。
「おかしい」「なんか気になる」を感じたときは、それがたとえレベル0であっても、未来の命を守るために報告という意識に変えてください。
これはCTAサンプルです。
内容を編集するか削除してください。