安全と医療・福祉

【虐待の通報義務とは?】医療福祉職が知っておくべき基礎知識

虐待の通報義務は、医療や福祉に関わるすべての人にとって重要な知識。

児童虐待・高齢者虐待・障害者虐待のいずれにおいても、「虐待かもしれない」と感じたら速やかに通報することが法律で定められています。

しかし実際の現場では、「どこまでが虐待なのか判断が難しい」「通報したら自分に不利益があるのでは」と悩む人も少なくありません。

この記事では、医療福祉職をはじめ初心者にもわかりやすく

  • 通報義務の定義
  • 通報が必要なケースの具体例
  • 通報を怠った場合のリスク

について解説します。

ポイントを理解しておくことで、自分や職場を守りながら、なによりも弱い立場にある人を守る行動につながります。

まず知ってほしい!通報してもあなたは守られるという2つの事実

私も仕事の関係で通報したことがありますが、「仕事」と割り切っても通報には勇気がいるものでした。

その勇気を行動に変える一つのきっかけとして知っておいてほしい2つのことがあります

普段の生活の中で虐待を疑い通報する場合には、もっと勇気がいるでしょう。

でも、その勇気によって救われる人がいるのも事実。

通報者の情報は保護される

通報を受けた職員には守秘義務が生じ、通報者の情報が漏れることはありません

精進

守秘義務とは正当な理由なく外部に情報を漏らしてはならないことです

通報しても不利益が生じることはない

通報したことを理由に解雇その他不利益な取り扱いを受けることはありません

筋肉

ただし、虚偽・過失による通報を除くぞ!

虐待と通報の義務:なぜ、どうして必要なのか?

虐待の通報義務とは、児童虐待防止法・高齢者虐待防止法・障害者虐待防止法の3つの法律に基づき、虐待を発見した人が市町村や児童相談所などの関係機関に通報することを求められる義務を指します。

ここで大切なのは「専門職でなくても義務がある」という点。

医師や看護師、介護職員だけでなく、地域の住民や近所の人が虐待を疑った場合にも通報義務が発生します。

法律は、虐待の疑いがあれば通報すべきと定めており、「確実に虐待と断定できる」必要はありません。

例えば「あざが不自然に多い」「子どもが『叩かれた』と言っている」「高齢者が極端にやせている」など、小さな違和感であっても通報が求められます。

また、通報義務を果たした人は法律で守られ、通報を理由に解雇や不利益な扱いを受けることはありません。

さらに、通報者の秘密も厳格に保護されるため、安心して行動できます。

つまり通報義務とは、「虐待を疑った時点で速やかに知らせる責任」であり、社会全体で虐待に苦しむ人を守る仕組みの根幹をなしています。

通報が必要なケースの例

実際に通報が必要となるケースは、多岐にわたります。

法律では「虐待を発見した場合」とされていますが、現場では「虐待かもしれない」という段階での行動が大切です。

代表的な例を挙げると以下の通りです。

  • 児童虐待
    ・身体に繰り返し不自然なあざや傷がある
    ・保護者の言葉や態度が極端に威圧的、暴力的である
    ・十分な食事や衣服が与えられていない
  • 高齢者虐待
    ・介護職員が不必要に大声を出す、叩くなどの行為がある
    ・金銭を無断で引き出されるなど経済的搾取が疑われる
    ・食事や入浴などの基本的ケアが放置されている
  • 障害者虐待
    ・施設職員が暴言や差別的な言動を繰り返す
    ・必要な支援を故意に与えない
    ・身体拘束を正当な理由なく行う

どれも通報先は市町村となっています

通報を受けた職員には守秘義務が生じ、通報者の情報が漏れることはありません

通報したことを理由に解雇その他不利益な取り扱いを受けることはありません

こうした場面を発見した場合、「自分の思い過ごしかも」と迷ってしまうことがあります。

しかし、通報は「相談」の延長線上にある行動。判断に迷ったらまず相談機関に連絡し、専門機関が調査・判断するのが適切な流れです。

通報を怠った場合のリスク

通報義務を怠ることは、重大なリスクを伴います。

まず、法的な観点から見て、通報しなかったことで職務上の義務違反に問われる場合があります。特に学校教職員や福祉施設職員は、法律上明確に通報義務が課されており、通報しないことで処分や責任追及を受けることがあります。

次に、被害者への影響。

通報が遅れることで、虐待が継続・悪化し、命に関わる深刻な状況になることも少なくありません。本来であれば守れるはずの命や生活を危険にさらしてしまう可能性があります。

職場や組織の信頼

虐待を見過ごしたことが明るみに出れば、病院や施設に対する社会的な信用を失い、事業運営に大きなダメージを与えることもあります。

通報をためらう人の多くは「間違っていたら迷惑をかけるのでは」と心配します。

しかし、法律は「疑いの段階で通報すべき」と定めており、結果的に虐待でなかった場合でも通報者が責任を問われることはありません。

むしろ「通報しなかったこと」が大きな問題になるのです。

まとめ

虐待の通報義務は、医療福祉職だけでなく社会全体に課された重要な責任。

確実な証拠や確信がなくても、「虐待かもしれない」と思ったら速やかに通報することが求められます。

通報者は法律で守られており、不利益を受けることはありません。

大切なのはためらわず行動すること。

それが、子ども・高齢者・障害のある人の命と尊厳を守る第一歩です。

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