「あぁ〜、なんだか腰も痛いし、だるいし、仕事に集中できないな」なんてコンディションで仕事に向かっていませんか?
医療・福祉の現場では、患者さんに安全で質の高いケアを提供することが最も大切。
そのためには、セラピスト自身が常に良好なコンディションを保ち、専門職としての倫理観を持って行動することが欠かせません。
実際、セラピストが日頃からセルフケアを意識し、心身の健康を整えておくことは、治療介入の質や患者さんとの信頼関係に直結します。
例えば、
- 十分な睡眠をとり
- バランスの良い食事を心がけ
- 適度な運動
- 好きな趣味を楽しむ
ことは、ストレスの軽減や集中力の向上につながります。
また、倫理的な行動を重視し、エラーが発生しても責任追及ではなく改善に努める姿勢は、他職種連携が欠かせないセラピストにとってチーム連携をより強固にします。
本記事では、セラピストにとって重要なセルフケアと自己管理のポイントを整理し、具体的な実践方法をご紹介します。
WHO患者安全カリキュラムガイド から学ぶ医療安全の基礎

まずは医療安全の視点も入れて、セラピストのセルフケアや倫理に基づく行動がなぜ必要なのかを一緒に学んでいけたらと思います。
<エラーを責めない文化を作り上げていくための基本6項目>
①医療者と患者の良好な関係を作ること
②エラーが発生しても誰も非難しないようにすること
③根拠(エビデンス)に基づいて 診療 ケアを実施すること
④患者の医療の連続性を維持すること
⑤セルフケアの重要性を認識すること
⑥日頃から 倫理的な行動を取ること
(中略)
医療者プロフェッショナルとして、エラー発生が少なく、水準を保った医療を提供するために、自分をよりよいコンディションに置く責務がある。医療者は誰でも、日頃からセルフケアを心がけ、よい状態で出勤しなければならない
(引用:相葉孝博:医療安全の基礎と最新の話題WHO患者安全カリキュラムガイド 他職種版から学ぶ.PT ジャーナル 第53巻第4号 2019年4月)
6項目のうち2つ(⑤と⑥)でセルフケアや倫理的な行動と支援者の自己管理について触れています。
プロとして患者さんや目の前のクライアントと誠実に高い水準で向き合うためには自己管理が必要であり、そのためには倫理的な行動(気分やテンションではなく、やって当たり前という規律の精神)が求められる。
だからこそ、質の高い技術や知識が身につき、医療事故を防ぐための行動を実施する心構えが形成され、結果として患者さんが安心して医療・福祉を受けることが可能になるのです。
セルフケアと倫理的行動が果たす役割

セラピストにとってセルフケアは単なる「自己管理」にとどまらず、プロフェッショナリズムを支える重要な要素。
患者さんや利用者さんに対して安全で質の高い介入を提供するためには、まず自分自身が心身ともに健康であることが大前提となります。
たとえば、疲労やストレスが蓄積した状態で勤務すると、集中力の低下や判断力の鈍りにつながり、エラーを誘発するリスクが高まります。
また、倫理的行動を重視する姿勢は、患者さんや同僚との信頼関係を築くうえで不可欠。
医療福祉の現場では「誰かを責める」のではなく、「チームで改善策を考える」という文化が求められます。
倫理的行動とセルフケアを両立させることで、セラピストは持続的に高いパフォーマンスを発揮し、患者さんに安心感を与えることができるのです。
やってみよう!簡単3分で終わるセルフケアチェック

次の日が出勤にも関わらず、深夜までお酒を飲み二日酔いで仕事に行く。
よくある話で私も若手セラピストと言われていた時期はやってしまってました。
それ以外にも不規則な生活や食事、睡眠などによっても人のコンディションは簡単に乱れてしまうので、日々の自己管理は本当に大事なのは皆さんも知っていると思います。
では、自分が今どんな状況なのか?
以下に簡単なセルフチェックを挙げてみましたのでやってみてください。
- 睡眠時間が6時間未満の日が週3日以上ある
- 就寝・起床時間が毎日バラバラで、生活リズムが安定していない
- 朝食を抜くことが週3回以上ある
- 運動習慣がなく、週1回も体を動かしていない
- 肩こりや腰痛などの慢性的な不調を感じる
- 仕事中に「集中できない」「やる気が出ない」と感じることが増えた
- 眠れない・夢見が悪いなど睡眠の質が落ちている
- 医療エラーやヒヤリハットを繰り返している
- エラーを反省よりも「誰かのせい」と考えてしまう
いかがですか?
意外と多い、少ないいろんな方がいると思います。
上記以外にもまずは自分の現在地を知るために日常の行動や習慣を振り返ってみてください。
セラピスト・医療者の自己管理の実践方法
では、実際にセラピストはどのようにセルフケアを実践すればよいのでしょうか。
ここでは、日常生活の中で取り入れやすい方法を紹介します。
筋トレのススメ
医療現場では、患者さんの移乗やリハビリ介助など体力を必要とする場面が多くあります。
筋力トレーニングは腰痛や肩の負担を軽減するだけでなく、基礎代謝を高めて疲労回復を促す効果も期待できます。
短時間でもよいので、スクワットやプランクなどの自重トレーニングを習慣にすると良いでしょう。
ジムやパーソナルトレーニング(トレーナーからの直接指導)もいいぞ!
月々料金を支払うので習慣化にはもってこいです
食事のススメ
食事は体調管理の基本です。
忙しい勤務の合間でも栄養バランスを意識することが大切で、特にタンパク質やビタミン、ミネラルは免疫力や集中力を維持するうえで欠かせません。
ジャンクフードや過剰なカフェイン摂取、アルコールを控え、規則正しい食生活を意識することが安定したコンディションを作ります。
間違ってもお酒がたくさん飲める=自分はスゴイ奴!
なんて、思わないでくださいね。
本当に強い人は他人の前で見せびらかさないからな!
睡眠のススメ
不規則な勤務であっても質の高い睡眠を確保する工夫は欠かせません。
寝る前のスマホ使用を控える、寝室の環境を整えるなど、ちょっとした工夫で睡眠の質は大きく改善します。
十分な休養を取ることが、翌日の集中力や判断力を高め、患者さんへの対応に直結します。
スポーツ選手は寝具にお金を使うらしいぞ!
人は人生の1/3は睡眠に時間を使うからね
趣味のススメ
趣味を持つことは精神的なリフレッシュに大きな効果があります。
音楽を聴く、読書をする、自然に触れるといった活動はストレスを軽減し、仕事とプライベートの切り替えをスムーズにします。
趣味は「自分自身を整える時間」として、長期的なキャリアを支えるエネルギー源となります。
趣味を筋トレにすれば一石二鳥だぞ
セルフケアが医療の質を高める理由
セルフケアを徹底することで、セラピストは患者さんにより良い医療を提供できるようになります。
これは単なる自己満足ではなく、患者さんの安全と信頼を守るための「責務」と言えます。
第一に、セルフケアによって集中力や判断力が高まり、医療ミスの防止につながります。十分な休養と栄養が確保されていれば、緊急時にも冷静かつ的確な対応が可能になります。
第二に、自己管理ができているセラピストは、患者さんやチームメンバーからの信頼を得やすくなります。「この人に任せれば安心」と思ってもらえることは、治療効果やチームワークを高める大きな要因です。
第三に、長期的なキャリア形成においてもセルフケアは不可欠。慢性的な疲労やストレスは燃え尽き症候群(バーンアウト)を引き起こしやすく、離職の原因となります。セラピスト自身がセルフケアを実践することで、持続可能な働き方が実現できます。
このように、セルフケアは「医療・介護の質を高める基盤」であり、セラピストの責任として日常的に取り組むべき課題と言えます。
まとめ|セルフケアと倫理的行動がセラピストの信頼を築く

医療・福祉やリハビリの現場で患者さんに安全で質の高いケアを提供するためには、セラピスト自身のセルフケアと倫理的行動が欠かせません。
これは単なる自己管理ではなく、医療の質を左右する重要な要素であり、プロフェッショナリズムそのものです。
セルフケアを意識することで集中力や判断力が高まり、結果として患者さんの安全や信頼につながります。
また、倫理的な行動は、同僚やチームとの協働を円滑にし、医療ミスを減らすための文化づくりに直結します。
本記事で紹介したポイントを改めて整理すると、以下のようになります。
- セルフケアは責務である
・心身を良好な状態に整えることは、患者さんの安全を守るための前提条件 - 筋トレで体力と集中力を高める
・体力の維持は介助時の負担軽減や疲労回復にもつながる - バランスの良い食事を心がける
・タンパク質やビタミンを意識して免疫力と集中力をサポート - 質の高い睡眠を確保する
・十分な休養が冷静で的確な判断力を育てる - 趣味を取り入れて心を整える
・ストレス軽減と仕事のパフォーマンス向上に役立つ - 倫理的行動を徹底する
・エラーを責めず改善に努める姿勢が信頼関係とチーム医療を支える
これらを日常的に実践することで、セラピストは長期的に高いパフォーマンスを維持でき、患者さんからの信頼も深まります。
セルフケアと倫理的行動は「個人の健康管理」にとどまらず、医療・福祉の質を高めるための基盤であり、持続可能なキャリアを築くための重要な習慣と言えるでしょう。
これはCTAサンプルです。
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