作業療法

学生を伸ばす!作業療法実習の評価コメント例と書き方の工夫

作業療法実習において、学生の成長を支える重要な役割のひとつが「評価表コメント」。

実習の総まとめとして指導者が記入するコメントは、単なる振り返りだけでなく、学生の自己理解を深めて今後の学びや臨床現場での姿勢に大きな影響を与えます。

しかし、いざコメントを書くとなると「どのように表現すればいいのか」「ポジティブな評価と改善点のバランスをどう取るか」と悩む指導者も少なくありません。

実習評価は学生にとって『努力の証』であり『次へのエール』。

本記事では、作業療法実習における学生評価コメントの書き方のコツを解説し、具体例を紹介します。

評価コメントで大切なのは

  • 実習に対する労いの言葉
  • 行動に焦点を当てる
  • 人間性を評価する
  • 気づきに触れる
  • 未来への期待を込める

と常々考えながら全力で実習評価コメントを書かせていただいています。

学生を尊重しながら成長を促すコメントの工夫を知り、より良い実習指導に活かしていただければ幸いです。

指導者がコメントを書く前の基本姿勢:心構え3つ

良い実習評価コメントを書いていくためにも、まずは指導者の心構えをしっかりと作って言いましょう。

ヒデアキ

学生と歩んできた実習で指導者のあなたが素直に何を学んだか整理しよう

筋肉

欠点ばかり目につくなら指導者として、まだまだヒヨッコだ

  1. 努力のプロセスを認める
     どうしても結果や欠点を伝えたくなります。でも、そこはグッとこらえて、学生の素敵だった行動や頑張った姿勢を具体的に言葉にすることで学生のモチベーションは高まります。
  2. 成長のポイントを具体化する
     「一歩踏み出す勇気があった」「患者に寄り添う姿勢が見られた」といった表現は学生の実感につながります。何よりも指導者が自分を見ていてくれたと感じられると誰だって嬉しい物です。
  3. 改善点は前向きに伝える
     弱点を指摘するだけでなく「これから伸びる可能性」として書くことが効果的です。人間欠点や弱点を他人に指摘されるのは気持ちのいい物ではありません。苦手があっても、これから先も努力を続けて立派な作業療法士になれるようコメントしましょう。

実習評価コメントのコツ:文章構成5つのステップ

実習に対する労いの言葉

 実習生の中には県外など遠方から初めての一人暮らしをしつつ、実習に望む学生もいます。まずは「お疲れ様」とねぎらいましょう。何よりも実習指導を頑張った自分自身にもお疲れ様!というつもりで。

筋肉

両親と離れてるのが寂しくて何度も泣いたよ

ヒデアキ

慣れない環境で将来なりたい職業の評価を受ける。十分負担だよ

行動に焦点を当てる

  • 患者さんやスタッフに自ら声をかけた
  • 疑問に感じたことを調べた上で質問できる姿勢
  • 毎日朝早くに来て準備を手伝ってくれた

 など、実際にこれからも続けてほしい学生の輝く具体的な行動を示してください。
 そんなところを見てくれていたんだ、という感覚は誰にとっても嬉しいはずです

ヒデアキ

学生が社会人になった時にも継続してほしいことがあるはず

筋肉

朝と帰りの挨拶ハキハキしてます!

人間性を評価する

  • 明るさや優しさが周囲を和ませていた
  • 不安を抱えながらも挑戦していた
  • 誰に対しても笑顔を忘れずに関わっていた

 誰もが絶対に持っている人として輝く瞬間や本人も気づいていない何気ない関わり。
 そんな部分に触れて、コメントを読んだ学生が自分の強みに気付けるようなキッカケになると思うと適当にはかけないはず。

筋肉

誰でも人として輝く瞬間を持っているものだろ?

気づきに触れる

  • 答えが一つでないことに気づいた
  • 自分の想いを言葉にする難しさを実感した
  • 障害あるなしに関わらず、患者さんと関わりたいと思った

 実習をしていると学生がハッと何かに気づき、メキメキと成長する瞬間があります。
 その時に発した言葉はぜひ指導者としてコメントで残してください。
 学生が後々、作業療法士になった時に大きな力になるはずです。

ヒデアキ

実習指導の醍醐味です。その瞬間にいられただけで泣けてきちゃう

筋肉

俺もそんな指導をしてやるぜ!

未来への期待を込める

  • これからも悩みながらも成長を続けてください
  • 患者さんの大切な作業を一緒に探していけるOTになってください

 自分の指導した学生が作業療法士になって成長したら、どのように患者さんと関わっていてほしいと思いますか?そんな願いを最後に必ず書くようにしています。
 なぜなら、そんな未来の作業療法士にちゃんと並んでいられるよう、自分も頑張り続けようと思うからです。

ヒデアキ

頑張って!だけではなく、どう頑張ってほしいかですね。

筋肉

実習のコメントでそんなこと書かれたら泣いちゃうぜ

これまでに書いてきた実習評価コメントの例

ちょっと文字の羅列が続きますがお付き合いください

臨床実習で不安を抱えながらコミュニケーションを頑張った学生

初めての長期実習に加えて、親元を離れて一人暮らし。心身ともに負担が大きかったと思います。その中でも自ら患者さん・スタッフとコミュニケーションをとり、挑戦していく様子があったのですごい学生だなと感じていました。周りの様子を伺いながら対応できるからこそ、自身の想いを伝えることに躊躇する時もあると思います。それでも今後の人生で沢山の経験を積み上げていくと自信が生まれ、出会う人の大切なこと(作業)を発見して一緒に寄り添える作業療法士になれるのではないかと信じております。これからも作業療法士になるために努力を続けてください。お疲れ様でした。

正解や答えを導き出すことに意識が向きがちだった学生

実習お疲れ様でした。答えや正解のない課題に戸惑い、さらに自分の考えを言葉や文章にする難しさから混乱したでしょう。でも、それはクライアントと真剣に向き合っている証拠で、実際に<学生の〇〇さん>が一生懸命に絞り出しながら話す内容は素敵なものばかりでした。ぜひ、他が為に悩みながらも、目の前の人に「人として向き合える」作業療法士になり、そうあり続けて下さい。

常に自信がない。でも、目の前の患者さんのためにと踏ん張った学生

分からない事が分からない。そんな場面が多く、<学生の〇〇さん>にとって今回の実習は苦しかったかもしれません。でも、その中で患者さんに向き合い、なぜ笑顔にしたいかを自分で見つけた後、沢山の勇気ある一歩を踏み出している姿に感動しました。恐らく、これから先、積極性がない、自主性がない、と一方通行な意見も挙がるかもしれませんが自分のペースで一歩ずつ進んでください。なぜなら、レジュメのタイトルや内容をみて<学生の〇〇さん>の想いは大きな力があると感じたからです。これから先、その想いをクライアントをとりまく周囲の人に発信し、多くの方の幸せを作業療法で実現してくれることを期待しています。

自分の特技を活かし、実習を通して自己表現した学生

臨床実習お疲れ様でした。

 学校からの課題も多く追われるような日々だったかと思います。そんな中でも自分の状況を見極め、行動し、実践していけるところは社会人でも難しい事です。その長所は存分に伸ばしてください。だからこそ、スタッフのみんなも作業療法アプローチをするときに色々フォローしてくれたのだと思います。<学生の〇〇さん>には周囲を動かす力が秘められているので今後、様々なところでその力を発揮してください。

積極的に関わり自分の力を最大限に伸ばしていった学生

 実習お疲れ様でした。初めての患者さんとの関わりの中で戸惑う事が多かったと思います。 それでも自ら患者さんの隣に行き、会話やふれあいを通してコミュニケーションを取ろうとする姿勢、自らできる事はないか模索し行動する勇気を持っているように感じていました。また、分からない事は質問するという当たり前だけど一番難しい事も自然にできている所も強みだなと思います。そうして、自分の力で集めた情報だからこそ、見学した内容を記録として文字にする事も出来ていました。とても素敵な力をたくさん持っているので自信をもって、これからの実習も頑張って作業療法士になってください。

ヒデアキ

特に届けたいコメント部分は学生の名前を意図的に入れるようにしています

筋肉

語りかけるような感じでなんか響くな…

ヒデアキ

自然と思いが伝わるような文章ができると体感してます

評価コメント重要性:指導者なら想い届けるコメントを

作業療法実習における評価表コメントは、学生にとって単なる成績ではありません。

実習期間中に経験した悩みや挑戦をどう受け止めるか、今後の成長の指針となる大切なメッセージ。

学生は「自分の努力がどう評価されたのか」「どんな点が強みで、どこを伸ばしていけばよいのか」を知りたがっています。

そのため、実習指導者はコメントを「振り返り」だけで終わらせず、次の一歩につながる言葉として届けることが求められます。

まとめ

学生評価コメントは「総評」ではなく「次の成長のためのメッセージ」。

努力を認め、成長を言語化し、未来への期待を伝える。

これらを意識することで、学生の自己理解を深め、臨床家としての第一歩を支えることができます。

作業療法士として次世代を育てる役割を担う以上、評価コメントはただの事務作業ではなく将来の作業療法士へのエールであることを忘れないようにしましょう。

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